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東京地方裁判所 平成6年(特わ)1550号 判決

本店所在地

東京都新宿区北新宿四丁目二一番九号

有川工業株式会社

(右代表者代表取締役 有川明文)

本籍

東京都新宿区北新宿四丁目二一番地

住居

埼玉県新座市畑中一丁目一四番二七号

会社役員

有川明文

昭和一九年一二月一七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官西谷隆、弁護人藤谷正志各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人有川工業株式会社を罰金四五〇〇万円に、被告人有川明文を懲役一年六月に処する。

被告人有川明文に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人有川工業株式会社(以下「被告会社」という)は、東京都新宿区北新宿四丁目二一番九号に本店を置き、左官業等を目的とする資本金一〇〇〇万円(平成五年一〇月一四日以前は五〇〇万円)の株式会社であり、被告人有川明文(以下「被告人」という)は、被告会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空の外注加工費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億一四九一万九六三八円(別紙1修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成元年一一月三〇日、東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号所在の所轄新宿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一九七九万六三九一円で、これに対する法人税額が七三五万四三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四七三〇万五九〇〇円と右申告税額との差額三九九五万一六〇〇円(別紙4ほ脱税額計算書(1)参照)を免れ

第二  平成元年一〇月一日から平成二年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億二三八五万三一四五円(別紙2修正損益計算書参照)、課税土地譲渡利益金額が九四万九〇〇〇円であったにもかかわらず、平成二年一一月三〇日、前記新宿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二七八八万〇二三五円、課税土地譲渡利益金額が二一六万九〇〇〇円で、これに対する法人税額が一〇九二万二七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額八八九四万五九〇〇円と右申告税額との差額七八〇二万三二〇〇円(別紙4ほ脱税額計算書(2)参照)を免れ

第三  平成二年一〇月一日から平成三年九月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二億〇三七五万八七二七円(別紙3修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、平成三年一二月二日、前記新宿税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二〇二万三八八九円で、これに対する法人税額が三七四万八六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額七五六四万九二〇〇円と右申告税額との差額七一九〇万〇六〇〇円(別紙4ほ脱税額計算書(3)参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書四通

一  岩城浩志及び榎本和枝の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の外注加工費調査書、雑費調査書、給料手当調査書、役員賞与調査書、福利厚生費調査書、交際費調査書、賃借料調査書、修繕費調査書、租税公課調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、支払利息割引料調査書、損金に算入した道府県民税利子割調査書、交際費の損金不算入調査書、役員賞与損金不算入額調査書、事業税認定損調査書及び領置てん末書

一  検察事務官作成の平成六年六月九日付け捜査報告書

一  登記官作成の登記簿謄本及び閉鎖登記簿謄本(二通)

判示第一及び第三の各事実について

一  検察事務官作成の同月三日付け捜査報告書

判示第一の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成六年押第一五四五号の1)

判示第二及び第三の各事実について

一  大蔵事務官作成の減価償却費調査書

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の超短期所有に係る土地の譲渡等に係る譲渡利益金額調査書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(同号の2)

判示第三の事実について

一  押収してある法人税確定申告書一袋(同号の3)

(法令の適用)

一  罰条

1  被告会社について

判示各事実につき、いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項(判示第一及び第二の各事実の罰金刑の寡額については、いずれも刑法六条、一〇条により平成三年法律第三一号による改正前の罰金等臨時措置法二条一項による)、二項(情状による)

2  被告人について

判示各所為につき、いずれも法人税法一五九条一項(判示第一及び第二の各所為の罰金刑の寡額については、前同)

二  刑種の選択

被告人について いずれも懲役刑

三  併合罪の処理

1  被告会社について

刑法四五条前段、四八条二項(各罪の罰金額を合算)

2  被告人について

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重)

四  刑の執行猶予

被告人について 刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑 被告会社・罰金六〇〇〇万円、被告人・懲役一年六月)

(裁判官 中里智美)

別紙1

修正損益計算書

〈省略〉

別紙2

修正損益計算書

〈省略〉

別紙3

修正損益計算書

〈省略〉

別紙4

ほ脱税額計算書(1)

〈省略〉

ほ脱税額計算書(2)

〈省略〉

ほ脱税額計算書(3)

〈省略〉

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